コラム

天草の人口減少と新築賃貸物件

こんにちは。

天草市の人口減少は著しいものがあります。平成18年(2006年)に合併し、現在の天草市が誕生しました。

合併時の人口は、102,000人。

2021年9月末時点の人口は、76,000人。

 

余談ですが、通称“あまくさ”といえば、天草市・上天草市25,000人(2021年8月末時点)・天草郡苓北町6,800人(2021年3月末時点)の3市町を指します。

おおまかに単純計算して2021年で“あまくさ”の人口は107,800人です。

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試算では、天草市の人口は2040年には51,000人にまで減少するのでは、と言われています。※『天草市まち・ひと・しごと創世 人口ビジョン(平成28年3月)』より。

この20年で25,000人減る、年間平均1,200人以上減少していくことに。

 

 

 

そこで、不動産業に話しはもどりますが、仕事でよくよく耳にすることがあります。

「人口がこんなに減っているのに、アパートやマンションがどんどん建っている。将来大丈夫なんだろうかねぇ。こんなに必要ないのにねぇ。」というご意見です。

新築物件が建つたびに聞く言葉ですね。

私自身もそう思う部分はあります。アパートマンション建設には賛成も反対もしない立場ですが、どちらかと言えば不動産業なので建ってくれる方がありがたいものです☺

 

そこで調べました。私の個人的見解ですが…

結論から言いますと、『本渡市の中心部は今後も入居については大丈夫でしょう。ただし、30年先の未来は予測つきませんが、今後20年ほどは入居に関しては問題ないでしょう。たぶん…』というのが私の考えです。

アパートマンション建設しても入居が大丈夫なその根拠はなにか?

それは着眼点を変えて見て下さい。見るのは“天草市の人口推移でなく、本渡市の人口推移”です。

 

本渡市の人口の歴史はこうです。※「国勢調査」より。端数は切ってます。

1955年:43,000人

1980年:42,000人

1990年:41,000人

2000年:41,000人

2010年:38,000人

2020年:37,000人

 

65年経って86%に減少しています。

この数字だけを見ると、理解しづらいかと思いますので、比較のために他市町村の推移です。

 

1955年と2020年の人口のみ。

牛深:38,000人→13,000人 34%に減少

有明:12,000人→4,600人 38%に減少

御所浦:9,000人→2,600人 28%に減少

倉岳:7,000人→2,700人 38%に減少

栖本:5,000人→2,000人 40%に減少

親和:8,000人→2,800人 35%に減少

五和:18,000人→7,600人 42%に減少

天草:12,000人→2,800人 23%に減少

河浦:14,000人→4,100人 29%に減少

 

☆(1955年は昭和30年で、天草全体の人口のピークの時期です。)

おおむねどの市町村も3分の1ほどに激減しています。しかし、これは日本のどの田舎町も同様の数字です。

その中で本渡は人口を維持しています。人口減少著しい日本では相当健闘している地方都市の一つでしょう。

むしろ86%というのは非常にポテンシャルがある部類かと思います。

 

つまり、『天草市の人口は減っても、本渡の人口は横ばいor微減なので、アパートマンションの入居率は高い』という結論が導かれます。

 

 

 

 

では、なぜ本渡の人口はそんなに減らないのか?

理由は二つ

1、天草圏外からの異動が多い。

公務員の異動(教員など)・民間企業の異動など天草以外から転勤してくる方のほぼ10割は本渡に住みます。

そして本渡から本渡以外の町の職場まで通勤する人がほとんど。

30分から1時間かかっても、本渡に皆さん住みます。

 

2,天草圏内からの転入が多い。

天草市在住の本渡以外の若い人が本渡にアパートを借りる、土地を買い家を建てる、というケースが非常に多いのです。

いろいろな理由がありますが、一言で言えば「本渡が便利だから」という一言に行き着きます。

通勤・子どもの学校・買い物の便利さ、などの理由が多いでしょうか。

(多いのは、結婚のタイミング、子どもの小・中・高校入学のタイミング等で本渡市に転入。)

 

 

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「天草内の学校は合併合併で学校数が減り、教員の数はどんどん減ってるじゃないか。教員のような公務員の転勤もあんまり期待できないんじゃないか?将来はどうなんだか。空室ばかりになるんじゃないの?」

と私が不動産業に携わっていない一般人なら思います。

現状は理解できるが、将来は不安になるはずです。本渡の人口も微減ではあっても確実に減りますので。

これも2つの視点から。

 

1,民間法人企業は減らないでむしろ増えている。

おっしゃるとうり、教員の絶対数はピーク時より確実に減っています。

しかし、教員は少なくても、他の職員は減っていません。警察、裁判所検察・法務局・ハローワーク・年金事務所などなど。

また、転勤は公務員だけではありません。

不動産業をしていますと、一般の方は知らないかと思いますが、実は公務員の異動よりも圧倒的に民間の異動が多いんですよ。

天草にある、民間企業は多いです。あまくさ地所で賃貸借契約してくださる実績の6~7割ほどは法人民間企業なんですよ。

大型ショッピングセンター、大型スーパー、大型ホームセンター、ドラッグストア、大型家電量販店、コンビニ、ディーラー、パチンコ、銀行、保険、電力関係、病院、施設、郵便局などなど言っていけばキリがありません。

これら民間企業の店舗が維持されていく限り転勤者は減ることはありません。(転入してくる人がいればその分転出する人もいますけれど。)

将来本渡の全ての店舗が撤退しまくって店舗が皆無になる場合はあきらめるしかありませんが。その場合は市が成り立ちませんので現状では考えられません。

そして、天草圏外から来る人は家賃は高くても築年数が若い物件・便利な物件を好みます。法人契約が多いので。

 

 

2、引っ越しの動機付け

上記の2と類似した内容です。

これも不動産業者だから肌身で感じます。

本渡の便利な場所に新しいアパートマンションが建つと、“天草在住の若い人が引っ越しする動機付けになる” のです。

「実家で不便はないんだけどな、いいアパートが建つからこの際家を出ようかな」というふうに考えて、背中を押されて本渡市に転入してくることに。

この理由で引っ越しする人は結構多いんですよ。感覚的なものですみません。

 

 

本渡以外の人口減少の拍車はかかり、本渡だけ人口を吸い取り現状維持という、天草市全体にとっては人口移動はないが市内間移動で本渡は増え、本渡以外は悲しい出来事が今後も続きます。

本渡の一極集中が拡大し、本渡とその他地域の差が尚一層拡大することに。

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世の中に絶対はないし、将来のことは誰にもわからないものです。

重要なのは、アパートマンションの立地・設備はもちろん大事ですが、

他物件には無いなにか秀でたパンチ力があるもの・入居者の心くすぐるなにかがあると将来的にも入居は安心できると思います。

中心部に近い、学校に近い、駐車場が2台ある、海が見える、ペットが飼える、高層マンションで眺望がいい、などなど。

 

長々となりましたが、本渡市の中でも便利な立地であれば今後も大丈夫、ですが、本渡でも中心部から離れた立地は若干厳しくなるかも、とも付け加えておきます。

以前とは異なり、北小校区南小校区の中でも細分化されて、

需要は「もっと中心部に!もっともっと中心部!!」という立地が入居率確保には必須条件になってくるでしょう。

 

例えば、

単身者には市役所周辺とかですね。東浜・小松原・大浜・今釜・栄町など。

ファミリー層は北小・南小・亀小周辺(徒歩5~10分圏内)。八幡町・浜崎町・北原町・城下町、諏訪町・古川町・船之尾町・川原町などなど。

 

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